「教育は早くからスタートした方がいい」と思っている方はいませんか? 最近では、早期教育や英才教育をされる家庭が増え、0歳からお子さんと教室に通われるかたもいますよね。

 

 

親が教育熱心であるのは、悪いことではないでしょう。しかし子どもの才能を伸ばすのにもっとも大切なのは、脳の発達に合わせた教育なのです。

「脳の発達段階に合わせて育てると、子どもは驚異的に伸びる」。

そう語るのは、脳神経外科医の林成之氏。0~3歳は、脳の細胞が増え続ける時期となり、未熟な脳に負担をかける知識の詰め込みはNGだといいます。

著書『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法』では、子どもの脳の発達に合わせて、どのように教育すればいいのかを脳医学の知見から解説。

脳の発達過程から「0~3歳」「3~7歳」「7~10歳」の年齢ごとに、子どもの脳を育む方法が紹介されています。今回は、各時期でのQ&Aから、一部をピックアップしてお届けします。

 

1:0~3歳の幼い子どもには積み木やブロック遊びをさせよう

みなさんは、子どもにどんなおもちゃで遊ばせていますか?

0歳~3歳の子どもにおすすめなのは、積み木やブロック遊びだそうです。立体的なものを積み上げたり組み合わせるには、水平を意識し、集中して、ものの形や位置を正しくとらえることが必要ですよね。これにより、自然に空間認知能が鍛えられるそうです。

空間認知能とは、空間の中で位置や形などを認識する知能のこと。空間認知能は、脳のさまざまな機能に関わるため、意識して鍛えるべきなのだそう。空間認知中枢の隣には数字を処理する中枢があるため、数字に強くなることも期待できるといいます。

また運動能力を鍛えるには、はだしで遊ばせることも効果的とのこと! 足の裏の感覚が鍛えられ、バランスをキープしやすくなり、空間認知能を高めることが期待されるのです。

 

2:3~7歳の子どもにはゲームしながら文字を教えよう

周りの子と、自分の子を比べてしまうことはありませんか? 「○○ちゃんはひらがなを全部書けるんだって」と聞けば、焦ってしまうママもいるでしよう。

しかし林成之氏は「何かを人より早く覚えたからといって、それで脳が発達するわけではない」と言います。必要以上に追い込んでしまえば、子どもは勉強嫌いになってしまうので、要注意!

ただし子どもが興味を持つまで放っておくのも、問題があるそうです。なぜなら、周りと比べて極端に遅れている状態が続けば、子どもが劣等感を持ち、勉強が嫌いになる可能性があるから。

3~7歳の子どもに文字を教える方法としては、カードを作るなど、ゲームをしながら覚えることを勧めています。まずは興味を持たせることが重要になるため、机に座らせて無理に勉強させてはいけません。

勉強を本気で頑張らせるのは7~10歳以降で十分だそうです。そのため3~7歳の子どもには、楽しみながら、少しずつ覚えられるように工夫をしていきましょう。

 

3:7~10歳の子どもにはやり抜くことの大事さを教えよう

小学校になれば、塾に通っている子どもは多くいますよね。しかし先取り学習では、子どもが育脳にとって悪い習慣を身につける可能性があるため、注意が必要だそうです。

たとえば塾で先取り学習をしたことで、学校の授業を「もうわかっているから」と聞き流す、学校の先生を尊敬しなくなるといったことがあるといいます。

また小学校や中学校までは良い成績を取れていても、徐々に悪い習慣の影響が出てきてしまうため、高校に進む頃には成績が落ちてしまうケースが少なくないのです。

7~10歳からは脳の回路が発達し始めるので、本格的に学習に励んでよい時期。

ただし学習において重要なのは、予習よりも復習とのこと。「だいたい覚えた」ではなく、「完璧に覚えた」というところまでやり抜くことが大事であることを忘れないようにしましょう。

ただし、先取り学習にもメリットはあるようです。

それは、良い成績を取ることで、子どもの自信につながること。ひとつでも何かに自信が持てることで、子どもはさまざまなことに対して意欲的に取り組むようになるそうです。

もし先取り学習をさせるのであれば、繰り返し勉強することがポイント!

親は「一度塾で習ったことでも、学校の授業ではまだ知らないことが出てくるかもよ」などと、アドバイスしましょう。子どもが興味を持って最後まで人の話を聞けるように導くことが、親の役目となるのです。

 

親が「子どもの才能を育てたい」と願うのは当然のこと。しかし「子どものため」と一生懸命になるあまり、実は脳によくない育て方をしているかもしれません。

林成之氏の著書『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!―脳を鍛える10の方法』は、脳のしくみから、どのように育脳に取り組めばよいかが、詳しく紹介されています。

周りの家庭が早期教育を始めているから、塾に通わせているからと焦る必要はないのです。ぜひ手にとって、日々の子育てに役立ててみましょう。